マンション騒音の原因は○○と○○【購入時に確認できる事】
マンションにお住まいになるには、やはり騒音の問題が切っても切れないことだと思います。
音の問題と言っても上下階や隣の音と外からの騒音に分かれます。
ここで、マンションにおける紛争処理の争点となった不具合事象の内訳の統計を見てみましょう。
Contents
マンションの不具合事象の統計
2位 伝播音(18.2%)
3位 設備瑕疵(13.6%)
4位 外部騒音(9.1%)
5位 建築瑕疵(9.1%)
6位 内装瑕疵(9.1%)
7位 室内空気濃度(4.5%)
8位 カビ(4.5%)
9位 振動(4.5%)
10位 設備メンテナンス(4.5%)
「音・振動」に関する不具合が多いことに気がつきます。その合計は全体の54.5%を占めており、戸建住宅の「音・振動」の合計が16.3%、施工精度、設備不良といった建築瑕疵を主な不具合事象としているのに比べ性質を異にしています。
騒音の原因
音とひとくくりにしても、外部騒音、給排水騒音、床衝撃音、生活音など音源や原因も様々です。加えて問題を複雑化しているのは人の感じ方にも差があることです。
建物仕様の同じマンションでも、音源・原因・居住者によって全く違った結果になるのです。
遮音性能を確認
床スラブコンクリートの厚さ、戸境壁コンクリートの厚さは遮音性に大きく影響します。また、床の構造が二重構造か床材の直貼りかどうか、戸境壁は二重構造かクロスの直貼りか。
マンションの騒音の原因は、コンクリート(床スラブ・戸境壁)の厚さと床・壁の構造の二つが大きな要素となります。
音の問題は入居後の生活が快適になるかそうでないかを分ける重要なポイントとなるでしょう。
床の構造
床・天井の構造は部屋の中だけを見てもなかなか判断しづらいのですが、直貼り(じかばり)と二重床・二重天井の構造があります。
分譲マンションでは、2000年頃からはスラブ厚さは200mm以上、現在では200mm~250mmが主流で、床・天井共に二重構造となっているマンションが圧倒的に多いです。
床の遮音等級
軽量床衝撃音に対する遮音性の尺度と生活実感の例
LLとはLevel Light-Weightという意味で軽量物を床に落とした際の音の伝達量を示しています。
LLにつづく数字が少ないと性能は高くなります。
重量床衝撃音に対する遮音性の尺度と生活実感の例
LHとはLevel Heavy-Weightとういう意味で子どもが飛び跳ねたりする際の鈍くて低い音の重量衝撃音に対する遮音性能です。LHにつづく数字が少ないと性能は高くなります。
戸境壁の構造
戸境壁(こざかいかべ・へき)の構造も床と同様に直貼りと二重構造があります。
床の構造と違い、戸境壁は二重構造より直貼りの方が音が伝わりにくいとされています。二重構造の場合、コンクリート躯体と下地石膏ボードとの間の空間で音が共鳴し、「太鼓現象」といわれる音を増幅させてしまう現象があります。現在ではコンクリートの厚さを上げてクロス直貼り仕上げとする工法が主流です。
壁を叩くと軽い音か鈍い音かで判断できますが、コンクリートの厚さなどは設計図書を確認しないと判断できません。
戸境壁の遮音性能
D値は実際の建築物の2室間の遮音性能(2室間の空気音遮断性能)を表わします。住宅性能評価を取得した建物の内、選択項目である透過損失等級を取得している建物の場合に計測されています。
外からの騒音を防ぐにはサッシ
サッシの遮音性能
サッシュの遮音等級であるT値は500Hz以上の遮音性能を示します。等級無しからT1~T4まであります。
T4は二重サッシュのみ可能です。性能評価基準ではT1以上は等級2で表記されます。
マンション騒音の紛争期間
音の問題の難しさは裁判期間の長期化にも表れています。3年以上を要するケースが全体の50%以上にのぼるのです。(1年未満5%、1年23%、2年17%)
結果が出るまでの間、気になっている音を我慢しながら生活を続けなくてはいけないことは、お金には代えられない大きなストレスとなります。
マンション購入時には床や壁の構造、サッシの遮音等級も確認することが大切なのです。
参考:不動産調査のプロが解説する中古マンション購入の注意点【保存版】