欠陥住宅を未然に防ぐ「施行検査」とは?【着工から完成までの工事品質チェック】
建物が完成し、内装材で覆われてしまった後では、確認できる部分は限られてしまいます。これは、同様に建築の各工程でもいえることです。
基礎配筋
例えば、基礎配筋。きちんと図面通りに、規定の材料が、適切なかぶり厚さを保って組まれているかは、コンクリートが打設されてしまってからでは、確認することは困難です。
かぶり厚さとは、鉄筋表面とこれを覆うコンクリート表面までの最短距離のこと。耐久性、耐火性、構造耐力に影響があります。柱、梁、基礎等の部位によって最小かぶり厚さが建築基準法で定められています。
金物
金物も同様です。2000年の建築基準法改正後、原則取付が必須となり、具体的な基準が定められました。この強度上重要な役割を担っている金物も、床、壁等で覆われてしまった後では、確認が困難です。
このように、タイミングを逃すと施工状態の確認、補修が困難となってしまう為、適切な時期に検査を行うことが大切なのです。
誰が工事品質をチェックする?
一方、現在の厳しい価格競争の結果による建築費圧縮のため、下請け業者に無理な価格や工期で発注せざるを得なくなっています。
現場監督も数棟からひどい場合には、10棟以上の現場を1人で掛け持ちしており、工期を守るための材料発注などの業務に追われ、建物の施工に関する厳しいチェックなどは、難しい状況になっています。
その為、建設現場でとても重要な「監理」(施工状態のチェック)がおろそかになってしまっている現場を多く目にします。
性能評価や確認検査では不十分?
最近では、第三者機関による「建設住宅性能評価」や「住宅性能保証」制度によって、現場検査を行うようにもなりましたが、限られた部分のみのチェックであり、建物全体の安全性や施工不良のチェックは、行われていないのが現状です。
このように、施工不良、施工間違い等がないかチェックする「監理」行為が、十分機能していない現状があるのです。
先の耐震偽造問題を受け、書類チェックは非常に厳しくなりました。しかし、いくら机上で頑丈に設計されても、その通りに施工されなければ、住宅も絵に描いた餅でしかありません。
現在の書類チェックに対する世間の高い関心が、ゆくゆくは施工検査にまで向けられることが望まれます。
参考 : 欠陥住宅や建築途中の手抜き工事を防ぐ 施工検査サービス
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